【特集】心房細動と生活習慣病、また心房細動の早期発見の重要性

【特集】心房細動と生活習慣病、また心房細動の早期発見の重要性

戸塚共立第2病院

循環器センター
眞壁 英仁(まかべ ひでひと)医師

専門分野
循環器内科

資格
日本内科学会認定内科医
日本心血管インターベンション治療学会認定医

心房細動とは?

 「心房細動」という不整脈を発症すると、心房(心臓の上部の部屋)は規則正しく収縮せず、小刻みに震えるような状態になります。その結果、心房内では血液の流れが滞りやすくなり、血栓(血の塊)が形成されることがあります。
 この血栓が血流に乗って頭部の血管へ移動すると、脳梗塞を引き起こす危険性があります。
 急速な高齢化や糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の増加に伴い、動脈硬化性疾患が増えています。高齢化とともに増加する心房細動も、こういった動脈硬化リスクが高い人に発症しやすく、心房細動による脳塞栓症の罹患数が年々増加してきています。
 この結果、脳血管障害の罹患数は2020年では170万人に達し、これに伴い要介護者も今後も増え続くとされています。まずは検脈の習慣が大切です。

検脈のすすめ

皆さんはご自身の脈を数えることができますか?
 検脈とは、皮膚の近くを走る血管に指をあて、脈拍を感じて観察する手法です。
 検脈は医療者だけでなく、一般の方も行うことができます。自分の脈を確認することで、心房細動から起こる脳梗塞の予防に役立ちます。たった数十秒の検脈が、大切な命を守る第一歩となるのです。検脈を通して、脈拍の不規則性や
脈が飛ぶような感覚に気づけば、心房細動を疑うきっかけとなり、早期に心電図検査を実施することができます。また発見が早ければ早いほど、適切な抗凝固療法を導入し、心原性脳梗塞を予防できる可能性が高まります。

スマートウォッチについて

 次にスマートウォッチ(腕時計型の端末で、時刻の確認に加え、スマートフォン連携や健康管理ができる機器です)の活用方法をご紹介します。スマー
トウォッチによる心電図測定は、個人の健康管理に革命をもたらしました。わずか30秒ほどで心電図を記録でき、心房細動などの不整脈の早期発見につ
ながります。特に無症候性心房細動の早期発見に役立ち、脳梗塞の予防や命を守る手段となります。
 高齢者だけではなく、健康意識の高い若年層にも有効であり、スマートウォッチの誕生は、医療とテクノロジーの融合がもたらした大きな恩恵といえるでしょう。

その他の診断について

また、心房細動を調べるための有用な検査方法もご紹介します。1週間装着可能なホルター心電図(=Heart Note )は、従来の24時間ホルターに比べて格段に優れた検出能力を持つ画期的な診断ツールであり、本検査は戸塚共立第2病院で行っております。
 心房細動などの不整脈は、一過性の場合も多く、24時間の記録では見逃されることがあります。1週間という長期間にわたり心電図を連続記録することで、不整脈の発見率が飛躍的に向上し、より正確な診断が可能になります。しかも防水性を備え、装着中でも半身浴が可能という利点があります。従来のホルター心電図は入浴を避ける必要があり、長期間の装着には大きな制約がありました。

しかし、不整脈は入浴中に出現する方がおられるため、そのタイミングを記録できることは、より正確な診断と適切な治療計画に役立ちます。
患者さんのご負担を減らしつつ、より精度の高い診断を可能にする-それが半身浴に対応したホルター心電図の大きな魅力です。
 このような様々な手段、ツールなどを利用して、心房細動の早期発見につなげることは非常に大切な取組みだと私は考えています。