医食同源

昭和大学名誉教授 戸塚共立第1病院・戸塚共立あさひクリニック 名誉顧問
戸塚共立あさひクリニック 腎・リウマチ内科
杉崎 徹三〈すぎさき てつぞう〉医師
私が購読している雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」(1)に最近、“Nutrition in Medicine”(医学における栄養の問題)、また別の号には “Food is Medicine”(食事は薬なり)という報告がありました。これらは「食事と健康」が世界的な課題であることを認識させます。
しかし、「食事と健康」の関係は今に始まったことではありません。医聖ヒポクラテスは2000年前、「汝の食事を薬とせよ」と言い、中国の古典医学書にも「食薬同源」という記述が見られます。これを日本人の新居裕久医師が、「醫食同源」にしたとされています。読者の皆様も、食べすぎによる肥満や糖尿病、がん、動脈硬化、最近ではコレステロールを減らすとされた機能性表示食品「紅麹」にプベルル酸が混入、それを摂取後に発症した腎障害などが思い浮かぶと思います。
毎日の食事にはタンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルが含まれており、これらを必要十分に摂取することは我々が健康を維持するうえで非常に重要です。しかし、日経新聞(2024/7/6)によりますと、最近の現役男性の4人に1人はタンパク質、食物繊維、カリウムが不足し、脂質やナトリウムの過剰摂取との報告があります。
タンパク質は筋肉ばかりでなく内臓、皮膚、毛髪、ホルモン、酵素などの原料になります。不足すれば、成長障害、筋力低下、睡眠の質低下、貧血などの問題を生じます。一方、食物繊維は消化吸収されにくく、大腸まで達する成分なので、便秘の予防や血糖値の抑制、血中コレステロール低下、腸内善玉菌を増やすなどといわれています。食物繊維は穀類、豆類、野菜、果実、キノコ、海藻などに含まれています。
カリウム不足は偏った食生活や拒食症、下痢症、副腎疾患、甲状腺機能亢進症、利尿薬の服用などによって起こりやすく、症状は筋力低下、手足のしびれ、不整脈などがあります。カリウムは植物中に含まれますが、その中でも切り干し大根、ホウレンソウ、ミカン、バナナなどに多いといわれます。腎臓病以外の方にお勧めします。
また、脂質の取りすぎにはご注意ください。脂質には、バターや肉類に含まれる「脂」と、オリーブオイルや大豆油、青魚油などの「油」があり、更にはトランス脂肪酸が入ったマーガリンなどがあります。一般的には「脂」を少なめにし、「油」を多めにした、トランス脂肪酸を含まない食事が動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞を予防すると考えられています。
最後にナトリウム(Na)ですが、体内のNaは血液の浸透圧を保つため非常に重要な物質です。若いうちは少々多めに塩分をとっても腎臓から排泄できますが、年を取るに従い体に溜まり、足のむくみ、高血圧、心不全を発症します。塩分は一日摂取量を7gから6g以下にするべきですが、ここでは「とにかく薄味で」と申し上げたいと思います。以上のことを参考にしていただき、基本的には肉、魚、卵、乳製品、大豆、緑黄色野菜、果物、芋、海藻、植物油の10品目中、1日8品目は食べるようにしてください。
最後にナトリウム(Na)ですが、体内のNaは血液の浸透圧を保つため非常に重要な物質です。若いうちは少々多めに塩分をとっても腎臓から排泄できますが、年を取るに従い体に溜まり、足のむくみ、高血圧、心不全を発症します。塩分は一日摂取量を7gから6g以下にするべきですが、ここでは「とにかく薄味で」と申し上げたいと思います。以上のことを参考にしていただき、基本的には肉、魚、卵、乳製品、大豆、緑黄色野菜、果物、芋、海藻、植物油の10品目中、1日8品目は食べるようにしてください。
