自分に献身、がん検診
TMG本部横浜支部 内視鏡診療推進室
消化器内視鏡技師
池宮城 薫〈いけみやぎ かおる〉
はじめに
近年、生活習慣の変化や高齢化社会に伴い、増大する生活習慣病患者の医療費が、財政を圧迫する原因の一つであると言われています。生活習慣に起因する病気、その重症化予防を目的として、各自治体でがん検診や特定健診を実施していますが、受診率の低さが大きな課題となっています。皆さんは、がん検診や特定健診を受けられたことはありますか?
有効な治療法や治療薬の開発により、ご存じの通り、がん医療は日々進歩しています。もしがんが見つかっても、早期がんであれば治療の選択肢を多くもつことができます。早期に発見して適切にがんを治療すれば完治するケースも多く、今回の特集で「予防の大切さ」について今一度、理解して頂きたいと思います。人生100年時代、【健康寿命】に意義があると言われている現在、一人ひとりが【自分ごと】としてがん検診の大切さを受け止めて、定期的な検診を心がけていきましょう。
日本のがんの現状を知っていますか?
30年以上、日本人の死因の1位をがんが占めています。
ただし、現在は、早期発見・早期治療をしていれば助かる確率の高い病気でもあります。「2人に1人ががんになる」「4人に1人ががんで亡くなる」(表1)と言われる程、がんは身近な病気なのです。
大切なご家族のことを思い浮かべてみてください。例えば、父・母・娘・息子の4人家族であったとして、そのうちお二人ががんに罹ったとします。そして適切な時期に検査を受けていなかったことにより、がんの発見が遅れて、お一人が亡くなるかもしれないというケースを想定すると、決して他人ごとではなく【自分ごと】であると感じて頂けるのではないでしょうか。(図1)
年齢性別に関わらず、がん検診に興味を持ちましょう!
女性特有のがんである、乳がん・子宮頸がんは、低年齢から罹患する可能性があり、40代後半でピークに達します。(図2)ご自分のことを後回しにして、仕事・家事・育児・介護等に注力する年代でもあり、残念ながら病気が進行してから発見されることも少なくありません。また大腸がんは乳がんを抜いて女性のがん死亡数の第1位です。
婦人科や肛門科、大腸の内視鏡検査等は、恥じらいや苦痛を伴うイメージが強く、受診に至らないケースが散見されます。先ずは侵襲や負担の少ないがん検診の内容を知って、受診することを初めの一歩として、がん検診を習慣化して頂きたいと思います。また、男性は第一線でのお仕事を終えて、定年退職される年齢からがんの罹患数が急激に上昇します。(図2)ご家族やご友人と声を掛け合い、共にがん検診を利用頂くことで、大切な命、生活を守ることを心がけてください。
実際にがん検診を受けてみましょう!
無症状のうちにがんを初期段階で発見する有用な方法はがん検診です。無症状で発見されるがんは進行していないケースが多く、早期で治療することにより、がんの死亡率を軽減することができます。またこの段階であれば、身体に負担の少ない治療の選択肢を持つことができますし、経済的負担が少なくすむメリットもあります。
各市区町村が実施するがん検診は、健康増進法により厚生労働省の指針に基づいて行われています。対象は、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5大がんです。死亡率の面でもっとも成績が良いのは胃がん検診です。2年1度であれば、内視鏡検査を受けることができますし、より病変発見の精度が上がりました。
大腸がん1次検診は、便を採取する簡易な方法で痛みのない検査です。健康に不安がなく、「自分だけは大丈夫」と思っていても誰でもがんに罹るリスクは持っているので、是非今年こそ、がん検診を受けてみましょう。
多くのがんは、初期の段階では症状が現れず、気が付いた時にはがんが進行していることがあります。がん検診は、症状が現れていない時期に病気を発見するための有効な手段です。
各種がん検診のご案内
横浜未来ヘルスケアシステム各施設は、がん検診を実施しております
今年度より、横浜市のがん検診は受診料のご負担も軽減(65歳になった方のがん検診を無料化)していますので、がん検診、がん診療に関心や疑問をお持ちの方は、是非お気軽にお問合せの上、ご相談ください。
※がん検診実施施設(戸塚共立第1病院・戸塚共立第2病院・戸塚共立メディカルサテライト健診センター・戸塚共立レディースクリニック・サクラス乳腺クリニック)